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			潤滑とローラチェーンの寿命
  ローラチェーン伝動においては、適切な潤滑が非常に重要であり磨耗や騒音に多大な影響を及ぼします。 ローラチェーン伝動においては、適切な潤滑が非常に重要であり磨耗や騒音に多大な影響を及ぼします。
 いかに伝動が適切に選定されていても、潤滑が不完全であったり適切でなければ寿命期間が短くなりますので、潤滑には十分な留意が必要です。
 ローラチェーンの伸びは、ピンとブシュ間の磨耗によって発生します。ピンとブシュ間は一定の摺動角度内での往復運動による金属間接触で油膜が切れやすくなっております。一般に境界潤滑の状態にあるので、ピンとブシュ間には絶えず適当な粘度をもった潤滑油の補給が必要です。
 そこで、この部分に十分な給油をほどこすには、図のようにローラチェーンの弛み側で外プレートと内プレートの隙間に潤滑油を入れることが大切です。
 このようにしてピンとブシュ間に潤滑油が十分にゆきわたれば、この潤滑油が油膜となり金属間接触を最小限にしてローラチェーンの磨耗寿命を最良にします。
 また給油量を十分にとれば、潤滑油は高速運転時の冷却効果や騒音の低下及び緩衝作用の役割も果たします。
 
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			おすすめする潤滑油
 ローラチェーン伝動においては一般に高級潤滑油をご使用下さい。通常の潤滑油としてはモーターオイルをお勧めいたします。潤滑油の粘度はチェーンの使用速度、荷重、および温度によって選定されるものですが、普通はチェーンの速度より選定して下さい。
 すなわち、チェーン速度が遅い場合は粘度の高い油、早い場合は粘度の低い油にして下さい。
 下記の表は周囲の種々の温度に対して適正な潤滑油の粘度を表します。
 
 周囲温度 推奨される潤滑油 -10℃~0℃ SAE 20 0℃~40℃ SAE 30 40℃~50℃ SAE 40 50℃~60℃ SAE 50  注意事項 注意事項
 ローラチェーンは定期的に専用のチェーンクリーナーで洗浄して下さい。
 潤滑の給油は定期的に行って下さい。
 
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			潤滑形式と給油量
 ローラチェーン伝動能力表には小スプロケットの歯数と速度に応じて夫々の潤滑形式がきめられていますので、運転にあたってはこの潤滑方法をご採用ください。
 推奨する潤滑形式には次の3形式があります。
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					形式1
 手差し給油
  チェーンの弛み側の外プレートと内プレートの隙間にブラシ又は油差しで定期的に給油する方法です。 チェーンの弛み側の外プレートと内プレートの隙間にブラシ又は油差しで定期的に給油する方法です。
 給油量と回数はチェーンの軸受部が乾燥してきて潤滑油が変質しない程度にして下さい。
 
 滴下給油
  潤滑油をチェーンにオイルカップなどからプレートの隙間に滴下する方法です。 潤滑油をチェーンにオイルカップなどからプレートの隙間に滴下する方法です。
 チェーンの回転速度が速くなるほど滴下量を多くしてください。
 
 
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					形式2
 油浴潤滑
  ケーシングの油たまりの中に下側スプロケットのチェーンを浸す方法です。 ケーシングの油たまりの中に下側スプロケットのチェーンを浸す方法です。
 油面はチェーンの最も下側の部分でピッチ線にとどく程度(6~12mm位油に浸る)にしてください。
 油面からの深さが過大であると油が攪拌されて発熱し変質するので好ましくありません。
 
 スリンガーディスク(回転板)による潤滑
  一般にケーシングを用いディスクをスプロケットと同心にしっかりと取り付け、それにより油たまりからはね飛ばされた油を点滴板などでとらえチェーンの上に滴下する方法です。 一般にケーシングを用いディスクをスプロケットと同心にしっかりと取り付け、それにより油たまりからはね飛ばされた油を点滴板などでとらえチェーンの上に滴下する方法です。
 この場合ディスクの周速は180m/min以上にして下さい。
 回転板はチェーンの幅が125mm以上のときは両側につけて下さい。油面から入る回転板の深さは12~15mm程度にしてください。
 
 
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					形式3
					循環強制(強制ポンプ)潤滑
  油密なケーシングを用い、循環ポンプで連続的にチェーンの下側(弛み側)でプレートの隙間に油を噴射させ、循環冷却させながら強制給油を行う方法です。 油密なケーシングを用い、循環ポンプで連続的にチェーンの下側(弛み側)でプレートの隙間に油を噴射させ、循環冷却させながら強制給油を行う方法です。
 給油量は1列チェーン、ピッチ1インチ(25.4mm)当り1時間に10ℓを基準にして下さい。
 噴射管の給油穴はチェーンの列数+1個設けてください。
 
 
 
 
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					形式1
 
					

 


